俺様な狼上司に迫られて!
お食事に行きます!
-----そしてあれから1週間。
「あ、サユリ!ごめん、これもコピーお願いしてもいい?」
「あ、いいよいいよー!」
「ありがとう、助かる〜!」
私、松岡サユリ(まつおか さゆり)は
何事もなく無事にOLを続けていた。
自分でも
退職させられるんじゃ…
なんて思いながらビクビクしていたのに
そんなこと、全くなく。
「あ、部長ぉ〜!
このプレゼンのことで少しお話が…。」
「ん?どうしたの?」
---そしてこの
優しい笑顔で自分を取り囲むOL達を対応する彼
部長の、神崎律樹(かんざき りつき)も
変わらぬ"紳士"な様子でいる。
新年が明けて始まった仕事場で
私たちはいつもと何も変わらない様子にうつっていることだろう。
だがしかし
少し変わったことがある。
それは…
「…あ、松岡!
悪いんだけど、ちょっと一緒に
その資料とこの資料持って行ってもらえないかな?」
「---------。」
これだ。
変わったことと言えばこれなのである。
(-----絶対 罠だ。)
キラキラの王子スマイルを振りまきながら
申し訳なさそうに眉を下げて笑う部長に
私は心の中でそう思った。
あれから幾度となく
何かと私を連れて手伝わせては
2人きりの状態をつくる。
しかしそれは他の社員には全く気づかれておらず
むしろ…
「サユリちゃんずるいー!
いいなぁ、いつもいつもぉ〜。」
…と、羨ましがられるばかり。
いや譲れるものなら譲りたいばかりっすよ皆サン。
「…はい、いいですよ。」
ほら…また。
私がちょっとでも嫌な顔をすれば
無言の圧力をかけてくる。
部長に逆らうという行動は
この会社の中では存在しないのだ。