俺様な狼上司に迫られて!
俺がそんなこと思うなんて
女子社員に囲まれる生活に
慣れすぎたせいか?
と最初は疑問に思っていたが
---そうではないらしい。
「あ、松岡。
これなんだけど、どうした方がいいかな?」
「んー?あ、これはね
こうすると…はい、こうすれば大丈夫だと思うよ。」
「おぉ、ありがと!助かるわ。」
どうやら俺は気がつくと
松岡サユリという女を目で追ってしまう癖がついたようで。
そのおかげて分かったことがいくつかある。
まず1つ。
それはさりげなく
こいつが男子社員から
"人気" で "モテている" ということ。
仕事に真面目で
公私混同が無さそうな人格と
そのサバサバした
媚びない様子が
みんなから好印象らしい。
それは俺と同じだ。
そして2つ目。
「サユリ、またさっきも沢田くんに質問されてたね。彼積極的じゃん!」
「え?何が?」
「もうー!明らかに彼はサユリ狙いだよー?」
「え、そうかな…。
まぁでも、別にどうでもいいや。」
---どうも、恋愛に疎い。
そして今のところ興味もない。
沢田は後輩の代で1番の人気だが
そんな男にも なびかない この興味の薄さが
俺は割と気に入ってる。
こいつは 他の女と少し違うな。
そう思った。
そして最後。
「沢田くんは好みじゃないの??」
「好みじゃないっていうか…
沢田くんのことよく知らないし
私も今そんな恋愛モードでもないし。」
彼のこと好きとも何とも思ってないから
ただそれだけ。
サユリはそう言うと
同僚の女子に優しく笑った。
-----随分と、はっきりした性格なんだな、と思った。
好きなものは好き、
そうでないものはそうでないし、
嫌いなものは嫌い。
…俺と似てる。
「…部長?どうかしました?」
「え?
あぁいや…何でもないよ。」
「……??」
そんな彼女の態度を見て
ますます俺の口角は上がり
気づけば
彼女をかなり気に入っていた。