俺様な狼上司に迫られて!
「松岡、隣いいか?」
運も味方したのか
松岡の隣はあっさり取ることができた。
沢田も狙っていたが
俺の方が先だ。
「松岡ぁ!酒注いでくれよー!」
「あ、わかりました!」
…なーんて
優越感に浸ってられたのもつかの間
隣にいた課長が
悪気はないだろうが、松岡を独占。
サバサバしながらも
きちんと返す松岡に気を許したのか
課長はどんどん松岡にお酒を勧める。
(おいおい…これじゃ先に松岡潰れるぞ。)
もしや酔った勢いで…なんて
軽い考え持ってるわけじゃねェよな?
なんて
自分でも疑い深すぎると思うほど
周りの行動に敏感になる俺。
そしてそれを知らずに
どんどん気分を良くする課長。
その隣に 言われるがままお酒を飲みまくるあいつ。
(まぁそんなことになったら
俺が助けてやればいいか…。)
と
そこそこ自分が酒に強いのをいいことに
俺も自分で酒を飲んで
2人の様子を観察していた。
しかし
俺の予想に反して
しばらくして2人して潰れたのだ。
「神崎ぃ〜。二次会行くろぉ〜!」
「何言ってるんですか課長。
もう家帰って寝た方がいいですよ。」
「えぇ〜!まだ皆で飲みましょうよぉ〜!」
俺は酔って呂律の回らない課長と
気分がハイになって
ハメをはずしている松岡に挟まれながら
2人を返すことに専念していた。
一次会はこれでひとまずお開きだが
若いグループはまだまだ飲める体力を残していて
そいつらはお店の前で待ちながら話し込んでいた。
みんなを待たせているその間
俺は2人を連れてタクシーを拾おうとしていた。
「…あ、ほら課長。
タクシー来ましたから。先どうぞ。」
「神崎のケチ野郎ぉー!
うぅ、ひっく。…気持ちわりぃ。」
「なら尚更帰ってください。
…はい、では気をつけて。」
そう言って運転手に発進するよう告げて
まずは課長を家に返した。
…そして残るは…
「はは〜、神崎部長ぉ!まだまだ飲みましょー!」
「…いや、お前も帰れ。」
問題児が、1人。