俺様な狼上司に迫られて!







「ほら、もう飲んだろ。
家に帰れ。送ってやるから。」







そう言って

先ほどより少しベロベロになってしまって
今にも寝そうな松岡の肩を揺らした。




ここで寝られたら困るんだよ。

…いろんな意味で。








(くっそ…何で、何でこんな…)







こいつは飲むと色気が増すんだよ…!!




と 寝ている松岡を見下ろしながら思う。


ジャケットを脱いで
そこそこにはだけているシャツから
鎖骨が見えて

上気した頬に
濡れた唇を薄く開きながら

無防備に俺の目の前で寝ているのだ。







---もう、理性の限界が来る。いくら俺でも。







そう危険を感じて

必死に松岡の肩を揺さぶる。







(…っ…俺も、酔いが回ってきたな…。)







一緒になって少し飲んだせいか

先ほどとは違い
頭がボーッとし始めて

思考回路がゆっくりになり始める。





早く

早くこの場からこの女を出さないと…






そう思いながら
必死に起こしていれば




松岡が薄っすらと目を開ける。








「ん……部長…?」

「おい、起きろ松岡。
…ほら、タクシー拾ってやるから かえ---」








帰るぞ。





そう俺が言おうとした時

松岡は虚ろに潤んだ目で俺を見上げながら
言葉を遮るように言った。









「…部長が、いいです…。」







(--------は?)







俺はその言葉に

目を見開いて、1度動きが止まる。





…どういうことだ。









「松岡……?」

「私…
結婚するなら、部長みたいな人がいいなぁ…。」








そう言って

柔らかくフニャっとした笑みで
俺を見た松岡。





------ドクン…






その松岡を見て


俺の心臓が
大きく脈立ったのを感じた。







(っ…やば……。)







どうしてこいつはこう…




俺の心を、かき乱す…?









「…松岡、そんなこと言ったら…」

「……?」

「…俺に、襲われるかもしんねぇぞ…?」







俺は自分の心が湧き立つのを感じながら


熱っぽい瞳で
松岡を見下ろす。






(-----今なら、まだ間に合う。)








お願いだから…





俺を 拒否してくれ。









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