グッドバイ

隼人は美里を試すような表情を浮かべると、今度はストッキングの上から脚をなぞり始めた。つま先からふくらはぎ、太腿へと上がる。内腿に熱い手を感じると、美里は身体に力が入った。
「破っていい?」
「うん」
隼人はためらいなく、腿の内側から引きちぎった。
「ちょっと触っただけで、こんな風になるんだ」
美里は目を閉じる。
「俺から視線を外さない約束」
隼人は美里の素肌をじっくりと温めるように撫でながら、美里を愛撫し続ける。ショーツを手荒に下ろし、無防備な美里にナイトスタンドの明かりを当てた。
ライトの光が、肌に熱い。ピリピリとした刺激が、美里の恥じらいを掻き立てた。
「全部、見てやる」
隼人は軽く笑いながら、美里を観察しはじめた。
「恥ずかしい」
「でも、感じてるんだろ」
時たま、唇と指で弄ばれながら、全身をくまなく触られる。『見られている』ただそれだけで、気が狂れそうになった。
美里は必死に目を閉じ続ける。
「目を開けろ」
高圧的で逆らうことのできない声音。よがる身体の中心を触れながら、隼人が言った。
美里は、やむなく目を開いた。
薄暗い天井が、霞んで見える。快感から瞳は潤み、なんども視界が歪んだ。太ももの内側に、隼人の髪が触れる。支配下に置かれることの快感。身体は正直に、反応している。
「声を我慢する必要ないよ」
隼人が言った。

あの人は、美里が声を上げると手で口を塞ぐ。困ったような眉と、はにかむような口元。
『隣に聞こえるから、静かに』
沸き起こる疼きと戦って、唇を噛み締める。漏れ出る吐息とともに呻いた。
そんな記憶。

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