まじかるがーる
紫ノ原 菫
ほんの少し手を伸ばせば触れてしまうそうなくらい近くに青白く光る満月があった。
―自分は今、何をしているのだろう?
朦朧とする意識の中で一生懸命思索を巡らすが、純黒の夜空と一緒に私の思考も溶けてしまいそうだった。
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最近何だか目眩がする。
とは言え、そこまで酷い訳ではない。
授業が終わって立ち上がった瞬間だったり、体育で準備運動をしている時だったりと色々なパターンがあるが、どんな場合だとしてもほんの一瞬の事で、倒れこんでしまうほどの事でもないのだ。
次の授業は確か体育だった筈だ。
しかも水泳。
今日は湿度が非常に高い。
汗でセーラー服が肌に張り付く。
今年の夏は蒸していて、気温も40度近くまで上がるときが多い。
皆5時間目の体育をとても楽しみにしていた。
私だって、例外ではない。
それに体育の中でも水泳は特に得意な競技なのだ。
授業は休みたくない。
目眩だってそんなに酷くないし、ただの風邪かも知れない。
うん、きっとそうだろう。
そう思い、今日の体育の参加を決意した。
――が。
―侮っていた…。
たかが風邪。されど風邪。
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