そういうもの…?
現実は甘いものじゃない
「まひるちゃんの幼馴染み、イケメンだよねー」
隣で鈴ちゃんがうっとりしたようにいう。
「そ、そう…?」
なんで、こんなことになったんだっけ?
えーと、たしか…雑誌に載ってたんだっけ?
もちろん、まひるじゃなくて、中野が。
中野こと、中野夏輝。
小学校の前からの知り合いで、同級生。
みんなはこれを“幼馴染み”っていうけど、いまいちピンと来ない。
だって特別仲が良くないし、
そもそも関わりがないし…。
仲が良かったのは小学校3年まで。
それ以降、必要最低限の話はしなかったし、中学校は中野は私立に行ったおかげで、一切喋ってない。
それに、名前でなんて呼んだことない。
まひるはずっと中野って呼んでて、
中野だって気づいたら藤井ってまひるを呼んでる。
お互いの家を行き来することなんて、もちろんない。
中野の家にも入ったことすらない。
果たしてこれを“幼馴染み”っていうのかな…。
唯一の“幼馴染み”らしいところは
腐れ縁ってことぐらいかな?