私を呼んだ。
後輩
僕は正直モテる。
学生時代はもちろん、
就職した会社でもモテている。
付き合った人は今まで何人かいたが、
1人も半年と続いた人はいなかった。
いつも告白されて振られていた。
別に彼女達の事が嫌いだった訳じゃないが、
どうも本気になれないのが彼女達に伝わっていたのか、いつも泣きながら振られた。
そんな僕が1人の後輩が気になって仕方なくなっていた。
彼女は一般的にいってもかなり可愛くて、頭もいい、会社の男どもは釘付けだった。
僕は正直そこまで興味を示さなかったが、新人の時の彼女の教育係になった。
彼女は常に笑顔で仕事もたんたんとこなした。
最初の印象は〝つまらない女〟
なんでもこなしてしまうので、教育係の意味すらわからなくなってくる。
ある日、
僕は人生初の遅刻。
上司に頭を下げ、急いで彼女の元へ向かった。彼女の事だからいつものようにたんたんとこなしているだろう。
そう思いながら向かうと彼女は僕がいつも通る休憩室の前に立っていた。
「加藤さん、おはようございます!」
「‥‥ここで、待ってたのか‥‥?2時間も?」
すると彼女はニコッと笑い、
「加藤さんいないとわたし何もできませんよ。加藤さんがいるから安心して仕事できるんです。」
僕はなぜかほっとしたような気持ちになった。
僕は必要とされている。
見た目だけじゃない。
僕自身を必要としてくれている。
その瞬間、僕の中の彼女の存在が
また別の存在に変わった。