私を呼んだ。
「‥‥ところでさ‥‥」
「はい?」
イタリアンのお店に入って水を1口飲んでから私は口を開いた。
「‥‥ほんとに私と会ったこと‥‥あるの?」
「はい、ありますよ?」
「‥‥いつ?」
「それは思い出してください。絶対覚えてますよ」
「‥‥美和繋がりとか‥‥?」
「俺は凛子さんの方が先に会ってますよ。美和さんより」
「えー‥‥」
「‥‥じゃあ、教えたら‥‥付き合ってくれます?」
「‥‥それとこれとは別!!!!」
「ははは、やっぱり。でも思い出してくれたら俺超嬉しいです」
「しょーじき、あなたみたいなイケメンにはあまり出会ったことない!!」
「ははは!ありがとうございます。でも、褒めてもダメですよ。早く思い出して俺と付き合ってください。待ってますよ、俺。」
そーいって私が既に食べ終わってることを確認すると、
「ちょっと寄り道しませんか?」
伝票を手に取り立ち上がった
「ちょ、払う払う!!」
「ダメです。今日はデートなんですよ?男が払います。」
「でも高校生に‥‥」
そー言おうとすると私の頬をつまんだ
「今日は1人の男です。」
そー意地悪そうに笑うと
「いきましょ」
と、私の左手の近くに自分の右掌を上に向けた。
私はチラッと彼の顔を見上げると、彼の頬が少し赤らんでいるのが見えた。
きっと慣れていないんだろう。
私は彼の右手にそっと自分の左手をのせるとゆっくりと立ち上がり、優しく包み込むように握る彼の右手にこたえるように、そっと自分の左手で握り返した。
その手は店の外に出ても、
暖かく包んでくれた。