私を呼んだ。
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「ねぇ、凛子。お母さんのお腹触ってみて」
「なぁに?‥‥あったかいよ?」
「フフッ、この中にね、赤ちゃんがいるの」
「赤ちゃん‥‥?」
「そー、男の子か女の子かまだわからないけど、凛子はもーすぐお姉ちゃんになるの」
「お姉ちゃん?凛子が?」
「そーよ。いっぱい遊んであげてね、お姉ちゃん」
「うん!遊んであげる!赤ちゃーん、お姉ちゃんだよー」
「凛子は優しいお姉ちゃんになるね」
「どーしてわかるのぉ?」
「だって、凛子はお母さんの娘だもん。お母さんの宝物。」
「へへ‥‥。お母さん、お手手‥‥」
「フフッはいはい」
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お母さんとよく歩いたこの河原。
今私は妹と同じ歳の男の子に手を引かれながら歩いてる。
懐かしいなぁ‥‥
「‥‥この橋‥‥」
「‥‥え?」
ずっと黙って歩いていた彼が口を開いた
「この橋で‥‥初めて凛子さんにあったんです‥‥」
「‥‥‥‥‥‥」
私はただ橋から川を眺める彼の横顔を見つめた。
思い出したのは、
目つきの悪い、怪我でボロボロになった少年だった。
彼はゆっくりと私の方を向き、ニコッと笑った。