私を呼んだ。
幸せ
「伊藤!」
「あ、おはようございます。加藤さん。」
出勤中里美と会う前に車の窓から顔を出している加藤さんに呼び止められた。
「乗ってくか?つってもそこだけど」
「いえ、もーちょっとで里美が来るんで。ありがとうございます。」
「そーか‥‥。なぁ、今日‥‥空いてるか?」
「‥‥えぇ、特には‥‥」
「じゃあ、仕事終わったら駐車場で待ってる。」
「はい‥‥わかりました。」
なんだろう?
また最近私に対する加藤さんの態度がおかしい。
何かやっちゃったかな‥‥
「りーーん!」
「あ、里美!おはよう」
「ねぇ、今の加藤さん?」
「あ、うん!」
「‥‥何か言われたの?」
「あー‥‥今日仕事終わり空いてるかって‥‥それで、はいって‥‥」
「‥‥そう‥‥。ねぇ、りん。」
「ん?」
「加藤さんとあの子‥‥どっちが好き?」
「え!!ちょ、何言ってんの急に‥‥」
里美のいきなりの発言に大声を上げてしまった。
「‥‥やっぱり私、りんには幸せになってほしい。」
「‥‥え、」
「もう、何も考えず自分の幸せを考えてほしい。恋だってしていい!!りんは幸せになってもいいんだよ!!!!」
「里美!!!!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥遅刻しちゃうよ、いこ?」
「‥‥うん。」
私は里美の手を引っ張って少し小走りで会社へ向かった。
そして
〝凛子さん。好きです。〟
あの言葉が離れなくなっていた。