私を呼んだ。
「おつかれぇ~あー、なんか今日疲れちゃった‥‥」
「じゃあ里美、今日加藤さんとこ行くから、先帰ってて!」
「わかった、それじゃあ」
里美の寂しそうな顔を見送った。
なぜ里美が突然あんなことを言い出したのかわからなかったが、里美はいつも気にかけてくれる。私の幸せへの不信感を。
「加藤さん!」
「おぅ、おつかれ」
「すいません、お待たせして‥‥」
「いや、いいよ、今日はなんか忙しかったしな、乗れよ」
「あ、はい。」
「レストラン予約してるからとりあえず行くか」
「え!あ、はい。ありがとうございます‥‥」
よ‥‥予約?いつのまに‥‥
「とりあえず‥‥おつかれ」
「あ、はい、おつかれさまです!‥‥フフッ」
ワインで乾杯をしたあと、高そうなお料理が次々でてきた。
「あの‥‥加藤さん‥‥今日ちょっと持ち合わせが‥‥」
私は少し小さめの声で言った。
「何言ってんだ。お前に払わせるわけないだろ。」
「え‥‥でも‥‥」
「こうゆう時は男に花もたしてくれよ!」
「はい、すいません‥‥ありがとうございます。」
そうゆうと加藤さんはニコッと笑ってワインを置いた。
「‥‥伊藤。」
「はい?」
私もなんとなくワインを置いた。
「加藤さん‥‥?」
加藤さんは少し目線を下げてから私の目を見た。
「僕は君が好きだ。」
「‥‥え‥‥」
あまりに突然過ぎて聞き返してしまった
「だから‥‥」
加藤さんはまた目線を下げてから私を見て
「僕は君が‥‥好きだ!」
加藤さんの真剣な目に吸い込まれそうになった。
私はパッと目線を下げた。
「あの‥‥私‥‥」
「知ってる。」
「‥‥え?」
「君の過去も全部知ってる。」
「‥‥‥‥」
「その上で君が好きだと言った。」
「‥‥加藤さん‥‥」
憧れだった加藤さんに言われて嬉しいはずなのに‥‥
なぜか加藤さんの言葉が胸に入ってこない。
もう何か、胸に入ってしまっているみたいで‥‥。
「答えは今すぐじゃなくていい。君が幸せになりたいと思った時でもいい。でも、僕の気持ちだけは知ってて欲しい‥‥」
「加藤さん‥‥」
「もう一度だけ言わせてくれ‥‥
僕は君が好きだ。」
どうして‥‥