私を呼んだ。
俺が小学校5年の時
あの時は凛子さんに会ってなかった俺は
想像がつくように目つきの悪い暗いただのガキだった。
もちろん友達なんか出来なくて、
トイレ以外席を立つことはなかった。
そんな時、前の女子達が1人の女子に喋りかけようとしていた。
「ねぇねぇ、いっしょに外で縄跳びしない?」
「みんないるよ!」
女子は集団が好きだよな‥‥
そんなことを思いながら寝ようとしていたら、
「いい、私、本読みたいから」
「そ‥‥そーなんだ‥‥」
「もーいいじゃん、いこ!」
女子達はその子を不思議そうにどこか軽蔑しながら出ていった。
冷めた女‥‥
そー思いながらその女子を見ていたら
「なに?」
女子が振り向いて聞いた。
これが咲姫と初めて会った時だった。
「‥‥別に」
「いつも1人でいるね」
「お前もだろ」
「私は1人でいたいの」
「俺もだよ」
「ねぇ、なんて呼んだらいい?つばさ?」
「‥‥なんでもいいよ」
「じゃあつばさね、私は咲姫」
「あっそ」
1人が好きという割にすごく話しかけてきた。
なんだコイツ。
「ねぇ、いっしょに帰ろうよ。」
「はぁ?何でだよ。」
「傘持ってないんでしょ?」
雨がポツポツ振り始めていた
「どうせ1人なんでしょ?」
「だからなんなんだよ」
「ならいいじゃない」
「いいよ、ついてくんなよ」
そう、嫌だった、タダでさせ人といたくないのに、施設暮らしだってことまで知られたくなかった。
アイツが見えなくなるまで走った。
雨が強くなってきた。