私を呼んだ。
「あ、美和おはよー!」
「おはよー!」
朝早いこの時間でも、ちらほら生徒がいた。
3年4組が私のクラス。
そして隣、3年3組が王子のクラスだ。
(ちょっとのぞくだけ‥‥)
「‥‥!」
いた、王子だ。
教室には王子しかいなく、王子はずっと窓の外を見つめていた。
カッコイイなぁ‥‥
扉の窓から覗いていると、
ドンッ!
後ろを歩いていた人にぶつかられ、
扉におデコを強打した。
「いったぁ~!」
もう一度窓をのぞくと王子が気づいたらしくこちらを見ていた。
やばっ!
このまま帰るのは不自然だと思い扉を開けた。
「お、おはよー!松井くん!」
「おはよー、大丈夫?」
「あ、あはは‥‥全然大丈夫!」
見られてたか‥‥
「あ、朝から早いね!」
「うん、目が覚めちゃって」
「そ、そーなんだ‥‥」
か、会話が‥‥
「あのさ、」
会話に詰まったと思ったら王子からまた口を開いた。
「な、なに!」
「‥‥凛子さん‥‥何か言ってなかった?」
チクンッ‥‥
お姉ちゃんの話か‥‥
「う‥‥うん!別に!なにも!」
「‥‥そっか‥‥」
‥‥何かってなんだろ‥‥
もしかして昨日お姉ちゃんが悩んでた理由って‥‥
「あ、あの!」
「ん?」
「き‥‥昨日、お姉ちゃんにあったの?」
「昨日?」
「う、うん。」
「昨日は会ってないよ」
「あ、そ、そーなんだ!あ、あはは‥‥」
それじゃ、昨日のは王子じゃないのか‥‥。
〝昨日は会ってないよ〟
じゃあ、一昨日は?
そこまでは聞けなかった。
「ねぇ、松井くん。」
「ん?」
「好きだよ。」