私を呼んだ。
手
ピロロロロ
「あ、私の携帯‥‥」
プルルルルルル‥‥
「‥‥出ないな‥‥凛子さん‥‥文化祭‥‥来てくれないかな‥‥」
「はい、もしもし」
「‥‥あ、伊藤?俺、」
「‥‥加藤さん‥‥」
「‥‥明後日‥‥少し話せないか‥‥?少しでいいんだ」
「‥‥明後日‥‥」
美和の学校の文化祭だ。
「‥‥ちゃんと話したくて‥‥」
確かに、ハッキリさせて置かなければならない‥‥。
「‥‥わかりました。」
「ありがとう、また連絡する。」
ピッ‥‥
美和に謝っとかなくちゃね‥‥
ピロロロロ
ん?また私の携帯‥‥
「はい、」
「凛子さん!俺です。こんばんは」
「あ‥‥翼くん‥‥」
「今大丈夫ですか?」
「えぇ、‥‥フフフ」
「?どーしたんですか?」
「いや、なんでもない‥‥フフ」
彼の声を聞いて安心したように笑がこぼれる。
「実は‥‥明後日文化祭あるんですけど‥‥来れませんか‥‥?」
「‥‥」
「‥‥夜、後夜祭でダンスあるんですけど‥‥俺、凛子さんと‥‥」
電話越しの声だけで彼の照れた顔が浮かび上がる。
私は携帯を耳に強く当てた。
彼の照れた声が私の心臓を叩く。
「‥‥ちょっと人と会う約束が出来て行けるかどうかわからないの‥‥ごめんね」
「‥‥会う約束って‥‥あの人ですか?」