私を呼んだ。
「‥‥加藤さん‥‥」
「あ、やぁ、ごめんね急に」
「いえ、そんな、こちらこそすみませんお待たせして」
会社の最寄り駅から近くのカフェで加藤さんは待っていた。
店員が来てコーヒーだけ頼んだ。
加藤さんはすでにコーヒーを頼み、半分ほど飲んでいた。
「‥‥あの‥‥」
「‥‥すまない」
「‥‥え、」
「僕が何を聞こうとしているのかはわかっているよね。」
「‥‥……」
「‥‥せかしてごめんね‥‥。でも‥‥あせってるんだ‥‥僕も‥‥」
「加藤さん‥‥あの‥‥」
「コーヒーお待たせしました。」
「あ、はい、」
話そうとした時私のコーヒーがきて途切れてしまった。
話すタイミングを失った気がした。
「正直でいい。」
「‥‥え?」
「正直に‥‥話して欲しい‥‥君の気持ちを‥‥」
加藤さんの目に吸い込まれそうだった‥‥
そりゃそうだ‥‥ずっと憧れだったもの‥‥
‥‥でも、塗り替えられてしまった‥‥
私の心は‥‥
もう一人の瞳に‥‥
「加藤さん‥‥」
自然と声が震え、涙がこぼれそうになる
「‥‥うん、」
加藤さんは優しく私を見つめてくれていた。
「‥‥‥‥ごめ‥‥ごめんなさい‥‥。」
涙が止まらない
「私‥‥私‥‥ずっと‥‥憧れてたんです‥‥加藤さんのこと‥‥でも‥‥私‥‥あの‥‥」
「‥‥あの子?」
「‥‥‥‥!」
「あの少年に会った時の君の反応でうっすらわかったよ‥‥。それで余計僕、焦っちゃって‥‥」
加藤さんはハンカチを差し出しながら言った。
「ごめんね、知ってた上でこんなこと言って‥‥ずるいよな、‥‥でもわかってほしかった‥‥それほど君が好きだったんだ‥‥。」
「加藤さん‥‥ごめんなさい‥‥」
「もう謝らないで、そんで、泣かないで‥‥抱きしめたくなるだろ‥‥?」
「‥‥‥フフ、」
加藤さん‥‥
本当に私の憧れでした。