私を呼んだ。
彼と仲良くなるのは遅くなかった。
いつものように里美の教室に行くといつものように席を譲ってくれるが、
変わったのが、彼も一緒にしゃべるようになったのだ。
話が合って、楽しかった。
共通点も多かった。
好きな食べ物、歌手、得意科目。
それと、
彼にも、美和と同じ歳の妹がいた。
彼には似ず、大人しい女の子らしい。
そして、とてもお兄ちゃんっ子らしい。
吹奏楽部だった里美と部活終わり一緒に帰るのが日課だったが、何故かその日里美は早く帰ると行ってニヤニヤしながら帰っていった。
ニヤニヤしているはずだった。
彼に一緒に帰ろうと誘われたのだ。
「‥‥ごめんね、いきなり誘って、」
「ううん、里美も先に帰っちゃったし、」
「‥‥ごめん、俺が頼んだんだ。」
「え?」
「‥‥話があって‥‥。」
彼の顔の色を見て自然とつられて私も同じ色になる。
なんとなくわかったからだ。
彼の話の内容を。
聞かない理由なんてない。
少しその話を聞きたかったから。
「ずっと好きでした。俺と付き合ってください。」
「‥‥はい。」
断る理由なんてない。
私も好きだったから。