私を呼んだ。
「俺、父親いなんいだ。」
付き合って数週間、お互いの事を聞き合うようになった。
「そ‥‥なんだ。」
「ははは、そんな顔しないでよ。」
彼は私のほっぺをつまんで言った。
「警察官だったんだ。父さん、少なくないよ。警察官が事件に巻き込まれる事なんて。」
彼は私のほっぺから手を離した。
「俺が7歳。妹があと一ヶ月で産まれる頃だった。警察署からの電話を取った母親が崩れ落ちたのを覚えてる。お腹を撫でながら。まだ7歳だった俺は何が起こったのか分からなかったけど、父親の白い顔を見てもう父親は起きないことはわかった。おしゃべりだった母親が無口になった。妹の予定日が1週間のびた。全て父親が死んだせいだと思ってたけど、妹の顔を見た瞬間、父親がいなかったら妹に会えなかったんだと思って、そこで初めて涙が出た。だから妹は俺に父親代わりとしてなつくんだろうな。父親に甘える事ができなかったから。」
落ち着いた口調で話す彼に何も言えなかったが、
彼は私を見てニコッと笑ってくれた。
私が見つめると彼は私の手を取って、
私の唇に唇を合わせた。