私を呼んだ。









陽輔とさよならしたあと、何故か走ってしまった。






「‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥なんで‥‥なんで今‥‥会っちゃうのよ‥‥」










陽輔を見ると自分がしたことの罪悪感と、苦しかった過去の記憶が一気に吹き出した。









罪悪感‥‥という言い方をしているが、





本当は陽輔にどれだけ恨まれてるかを恐れているだけなのかもしれない。








「‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥‥‥」










走っても走っても消えない、胸にナイフが刺さったような違和感。




7年のブランクでなまりきった体と体力。





全てにもどかしさを感じながら走った。

















右頬に一筋冷たいものが流れる。













「‥‥はぁっ‥‥なんで‥‥はぁ‥‥もう‥‥25でしょ‥‥っ‥‥‥‥はぁ‥‥泣くな‥‥!‥‥」















気がつくと、母とよく歩いた道、そして翼と出会った橋が見えるくらいまで走っていた。














夜の11時。













「‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥」







立ち止まって橋を眺めた。








「‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥」









お風呂に入ったのに汗が首筋を流れる。










「‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥」











左の目からも‥‥汗が流れた。




















「‥‥はぁ‥‥‥‥‥‥」











周りを気にする余裕もなかった。


















「‥‥スゥー‥‥」











心臓の違和感が一気に吐きでる感覚だった。
















「泣くなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」














言葉とは反対に私の目から汗は止まってくれない。














「‥‥ヒッ‥‥泣くな‥‥泣くなぁぁぁぁ‥‥!」













止まるどころか私の言葉は私の体には届かないようだった。










心臓の違和感も消えてはくれない。











「‥‥そう‥‥私にはこんな顔がお似合いなのね‥‥」









川をのぞいて見ると、醜い自分の顔が月明かりで写っていた。










水に映るせいで余計に醜く見えた。












「‥‥汚い顔‥‥」













ゆっくりと目を閉じると崩れ落ちるようにしゃがみ、川に石を投げた。







川に映る自分の顔をめがけて。





















「‥‥そんなことない。」
















声がする。














振り返る。
















「‥‥あ‥‥。」






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