私を呼んだ。
咲姫の様子がおかしかった。
「ど‥‥どーした?咲姫‥‥」
「気づいてるくせに‥‥私には翼とお兄ちゃんしかいないって‥‥知ってるくせに‥‥!!!!」
咲姫は目に涙を浮かべながら俺の胸ぐらをつかんで揺すった。
「‥‥咲姫‥‥?」
「どーして2人ともあの人の所にいくの‥‥!!!!」
「‥‥2人?」
咲姫はそう言うと急に落ち着き出したが、震えはおさまってはいなかった。
キーンコーンカーンコーン
「‥‥ほら咲姫、チャイムなったぞ」
咲姫の肩をつかんで咲姫を体から離した。
「‥‥ごめんな咲姫。」
「‥‥ぇ‥‥」
「‥‥俺も‥‥凛子さんしかいねぇんだ。」
咲姫は俺を涙目で見上げた。
「‥‥‥‥わたし‥‥」
「‥‥ん?」
「‥‥なんでもない。」
咲姫の言動を不思議に思いながら見つめていると
咲姫は走って教室に向かった。