私を呼んだ。
「凛子さん‥‥」
「翼くん‥‥」
風になびく彼の髪はとてもふわふわしていて、その間から見える瞳が〝悲しさ〟を表していた。
「翼くん‥‥?翼くんか‥‥ずいぶん雰囲気が変わったね。」
「なん‥‥で‥‥陽輔くんと‥‥」
翼は陽輔の言葉を被せるように言った。
「‥‥高校の同級生なんだ。」
陽輔は翼に言った。
「‥‥そーなんだ‥‥。」
翼はそう言うと、私の手を引っ張った。
「‥‥凛子さん帰りましょ、妹さんも心配してました。」
そういえば美和に連絡していなかった。
「凛子!」
陽輔の声に翼は止まらず私を引っ張って歩いた。
「また連絡する!」
その声が聞こえたあと私は振り返り、陽輔を見ると、また高校生の陽輔の顔が見えた。
顔を前に戻して翼を見上げると、
翼も私が見ているのに気付き、笑ってくれると思っていたら、
そのまま顔を前に戻し、歩いた。