私を呼んだ。
「‥‥モテるなぁ‥‥凛子は‥‥」
歩いていく2人の背中を見つめていた。
「‥‥あの翼くんが‥‥大人になったってことなのかな‥‥それとも‥‥凛子が‥‥」
「お兄ちゃん」
「‥‥咲姫」
「‥‥‥‥見てたよ」
「‥‥え」
「元カノにキスとかありえない。」
「‥‥ごめ‥‥て謝ってもあれか。‥‥」
振り返ると2人の背中はもうなかった。
「‥‥なんでキスしたの?」
「‥‥え?」
「まだ好きなの?」
「‥‥‥‥」
「‥‥ねぇ」
「‥‥あの時と同じ顔してた‥‥」
「‥‥あの時?」
「凛子の両親亡くなってるんだ。高3の時、事故で」
「高3って‥‥お兄ちゃんと別れた時‥‥?」
「‥‥支えられなかった‥‥凛子のこと、俺が悪いんだよ。」
「‥‥‥‥」
「‥‥あの時も、自分を責めてたんだろうな‥‥、ごめんなさいごめんなさいって、あいつは何も悪くないのに‥‥あいつは妹を守ろうと必死で‥‥」
「‥‥‥‥」
「あの時のことを思い出して‥‥どーしても今度こそ‥‥支えたくて‥‥‥‥‥‥って、こんなのキスした理由になんねーけど‥‥」
「‥‥‥‥」
「‥‥あの時、無理にでも抱きしめてキスして抱きしめて‥‥やれたら‥‥って思うと‥‥勝手に‥‥」
「‥‥‥‥」
「‥‥咲姫?」
「‥‥‥‥‥‥‥さい」