私を呼んだ。
「‥‥凛子」
呼ばれた先には陽補がいた。
昨日の夜にメールで呼び出された。
〝明日‥‥会えないか?〟
「ごめん‥‥呼び出しといて遅れて‥‥」
「ううん、大丈夫。」
「あの‥‥ごめん、咲姫が‥‥なんか言ったみたいで‥‥」
陽補は私を呼んでから1度も私の目を見ない。
「‥‥ホントのことだもん‥‥仕方ないよ、」
「そんなこと‥‥!凛子は何もしてないよ」
陽補はまるで自分が悪いことをしてしまったかのように拳を握り震えていた。
「‥‥俺、またアメリカ戻ろうと思って」
「‥‥え」
陽補は震える手をおさえ、私の目を見て言った。
「実は、アメリカにいた時の家まだ解約してなくて‥‥、やりたいこともまだ残ってるし、それに‥‥」
陽補は目を細めて切なそうな顔した。
「ほんとは‥‥ほんとは、ただ、凛子に会いたかっただけなんだ。」
陽補の言葉が、まっすぐに私につきささった。
「‥‥一緒に‥‥来てくれないか‥‥?」
「‥‥え‥‥」
「俺は‥‥ずっと凛子といたい。」
「‥‥陽補」
まっすぐに気持ちを伝えてくれる陽補の顔が、一瞬だけ翼と重なり、目を閉じた。
「‥‥凛子‥‥?」
「私‥‥」