私を呼んだ。
「‥‥ごめん‥‥咲姫」
「言う前から謝らないでよ。」
「‥‥え?」
咲姫の目は真っ赤に腫れていた。
「‥‥ごめんね‥‥翼‥‥。これで最後だから‥‥。」
咲姫は真っ赤に腫れた目で必死にこちらを向けながら言った。
「好きよ、翼。」
咲姫は今までに見せたことのないような笑顔を見せた。
「言いたかっただけ‥‥。私も‥‥そろそろお兄ちゃんと翼離れしなきゃなって‥‥」
「‥‥咲姫‥‥」
咲姫が小さな子どもに見えた
「かないっこなかったのよ最初っから。あの人には‥‥私も言ったんだから‥‥翼も最後にあの人に挨拶してきたら?」
「‥‥え?」
「なに驚いた顔してるの?知ってて落ち込んでたんじゃないの?」
「‥‥え、な‥‥に‥‥?」
〝最後〟‥‥?
「‥‥最後って‥‥?」
「聞いてないの?」
嫌な予感しかしなかった。
まるで夢の続きを見ているようだった。
「凛子さん、お兄ちゃんとアメリカに行くのよ?」
俺はとっくに
夢から覚めているはずだった。