私を呼んだ。
足が重たい。
思うように走れない。
うまく息ができない。
うまく叫べない。
やっぱりまだ夢の中のじゃないか。
つねった頬が痛かった。
「りん‥‥こ‥‥さ‥‥」
〝行かないで〟
俺は何度この言葉を飲み込んだだろう。
凛子さんの決めたことなら仕方ない。
相手が陽輔くんならなおさらだ。
凛子さん、俺実はちょっと期待してました。
俺の言動に頬を赤く染める凛子さんに。
ちょっとでも俺を好きでいてくれたのかなって。