私を呼んだ。
これでいいんだ。
この気持ちを押さえつけるためには
あの子に会いたくても会えない状況になれば
いずれ時が忘れさせてくれる...。
「そろそろ行こうか」
「うん」
陽輔の声がした方を向き、彼の後ろを歩き出した時、
「凛子さん!!!!」
声がした。
何度も聞いた声、何度も聞きたかった声...
考えるよりも先に体が動いた
私の視線は陽輔から一気に彼に向けられた
「...翼くん...!!!!」
私の声に陽輔も振り返った
「翼くん...」
「凛子さん...どうして...俺、聞いてない...。」
翼はまるで親が迎えに来ないと不安になっている子どものような顔で私を見た。
「...ごめん...なさい...。」
私の声に翼は、走って息切れしていた呼吸を整え、肩をおとした。
「...陽輔くんのこと...好きなの...」
「...え...「そうだよ。」
私が驚くのと同時に後ろから陽輔の声がした。
「凛子は俺のこと...好きなんだよ。」