私を呼んだ。
「好き」
好きな人から聞く初めての言葉に
俺は正気を失った。
「つ…ばさく…」
いつも以上に頬を赤らめる凛子さんが
あまりに可愛くて
俺は凜子さんの手を離せなくなった。
「す…すみません…ちょっと乱暴でしたよね…」
手を離そうとすると今度は凜子さんが俺の手を慌てて握り返した。
「私の方こそ…ずっと…はぐらかしてて…」
凜子さんは下を向いて話だした。
「ちゃんと覚えてる…橋の上にいた翼くんも…あの時の約束も…」
「凜子さん…」
「ごめんね…おまたせ…」
凜子さんは俺の手を握っていたのと逆の手で俺の頬に触れ…
「好きだよ」
俺の顔を引っ張るようにして
自分も背伸びして見せた。