私を呼んだ。
「…凛子さん…」
「ん?」
「…その…陽輔くんとアメリカって…咲姫から聞いたから…」
「あぁ、そー、アメリカいくの。」
凛子さんはさっきのキスの時の照れた顔を一瞬にして普段の顔に戻した。
「3ヶ月。」
「…えっ??」
「…ん?え、アメリカ行くって知ってるんでしょ?なんで驚いてんの…」
「さ、3ヶ月…!?」
凛子さんの言葉のあとに確かめるように放った自分の言葉に力が抜けて俺はしゃがみこんだ。
「はぁ〜〜〜〜…」
「…え?どうしたの?」
凛子さんの頭にハテナが見えた。
「…俺…てっきり陽輔くんと付き合ってアメリカついていくんだと…」
「えぇ!って、それ咲姫ちゃんが言ってたの??」
…そーいえば咲姫はアメリカに行くとしか言ってなかった。
「…いや、俺が早とちりしてました…。」
俺の言葉に凛子さんはフフッと笑った。
「馬鹿ね。」
そういうと凛子さんは俺と同じようにしゃがみこんだ。
「陽輔は確かにこれからもアメリカにいるつもりで誘ってくれたけど、やっぱりいつまでも陽輔に甘えるわけにはいかないからね、3ヶ月の短期留学。英語の勉強はずっとしたかったしね。それに…」
凛子さんは右手の人差し指でちょんっと俺の鼻をつついた。
「翼くんの気持ちが残ったまま陽輔についてったら陽輔に悪いもんね、陽輔とは一緒の飛行機で行くだけだよ。」
凛子さんはもう1度ちょんっと俺の鼻をつつくといたずらっ子のような顔で笑った。