夢見のさだめ
ドミニク王子は一瞬顔をしかめたが、直ぐにいつも通りの顔に戻り「そうか。 では寝つきがよくなる香を今度持ってくる」と言ってくれた。


何だかんだ言って優しい人。


ドミニク王子の魅力は一緒に居れば居るほど、よく分かってくる。



「すみません。 嘘つきました」



だからつい、誤魔化したままではいられなくなってしまう。


隠し事ができないのはこの人の独特な雰囲気のせいだろう。



「最近見る夢が、以前よりも鮮明で……それも一日に一つの夢だけじゃない時もあるので、その度に目が覚めてしまってあまりよく眠れないんです」

「夢はコントロールできないのか?」

「無意識に見る夢の方が多いですけど、見たいと願った夢を見る事もできます。 絶対ではないですけど、そう言った意味ではコントロール出来てるんでしょうが、夢の数まではまだどうしようもなくて……ちょっと困ってます」



強く願った夢を見られる事を知ったのはつい最近。


ただ、必ずしも見たいと思った夢を見られる訳ではない。


見たいと思っていなくても、心のどこかで気になっている事とかを夢見る時もある。


今更ながら、私の力は凄く不安定なものなんだと近頃感じる。



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