夢見のさだめ
「その話、兄には?」

「していません。 っというか、二人でお話しする時間がありませんので」

「不思議に思っていたんだが、兄と知り合ったきっかけは?」

「それは……秘密です」



私がそう言うと、ドミニク王子は明らかに不満そうな顔をした。


ランスロット王子と出会った場所は、ジーナにすら言っていない。


私とランスロット王子の……二人だけの秘密の場所にしておきたいと思うから。


最初から何となくそんな風に思っていて、自覚していなかっただけで、出会った時からランスロット王子の事を意識していたのかもしれない。



「兄は以前とは比べ物にならないくらい、忙しくしている。 アイリスの件から徐々に王族としての風格を現し始めたが、先日の件で更に力強さ、勢いを感じる様になった」



先日の件とは毒の事件の事だろう。


王室にとってはいい事だろうけど、私は無理をしていないか心配でしょうがない。



「誰が父の後を継ぐか分からなくなってきた」



楽しそうな顔をするドミニク王子を見て、不思議に思った。


普通嫌な顔の一つでもするところなんじゃないの?



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