夢見のさだめ
ドミニク王子はやっぱりよく分からない。



「近頃、兄に目を付ける女たちが増えてきたな」



馬鹿にするでもなく、冗談をいう感じでもなく、真面目な顔で言われて、どんな顔をすればいいのか分からなかった。


この人の事だから、私の気持ちなんてお見通しなんでしょうけど。



「ドミニク王子に言いよって来ていた女性も、ランスロット王子へ目移りされているのでは? 宜しいのですか?」

「簡単に目移りする人間に興味はない。 宜しくないのは私ではなく、君じゃないのか?」

「…………」



ドミニク王子の言う通りだ……一番気にしてるのは私だし、嫌で堪らない。



「兄はそういう気持ちを持たれる事に慣れていないから、気持ちを前面に出さねば伝わらないぞ」

「色々と頑張られている時に、私の事で困らせたくはありません」

「何故困ると思うんだ? 上手くまとまるとは思わないのか?」

「私は……友人、ですから……」

「では、私にしておけ」



……え……はい?



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