夢見のさだめ
ランスロット王子が少し笑った様に見えた。


だけどその笑い方はあまり好きじゃない、無理した様な笑い方だった。



「自分がやるべき事、やりたい事が見つかったんだ。 だから今はその為に頑張ってる」

「そっか。 きっと私には難しくて分からない事だろうけど、私はいつでもランスロット王子の味方だよ」

「何よりの言葉だ。 エヴァがそう言ってくれるだけで、力が湧いてくる。 ありがとう」



両手で包み込むように手を握られ、ドキッとした。


嬉しい筈なのに、手から伝わる温もりに切なさを感じた。


だけど、ずっと離さないでいて……そう願った。



「暫くここへは来られないかもしれない」

「そっか……無理はしないでね」



「暫くってどのくらい?」、「少しも時間取れないの?」……つい漏れてしまいそうになる言葉をグッと飲み込んだ。


「それじゃあ、またね」そう言って離れた手。


頑張ってるランスロット王子を応援したいのに、素直に応援できないのは、一緒に居てほしいという想いを消すことが出来ないからだろう。


自分の気持ちと上手く付き合っていくのって、こんなに難しいんだ……全然ダメだな、私。



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