夢見のさだめ
夜、ベッドの中に入って本を広げた。


枕元の明かりが手元の本を照らしてくれる。


ランスロット王子が貸してくれた本は“雪の女王”という童話の本だった。


このお話は一度も読んだことがない。


悪魔のせいで別人の様になってしまった彼を、一途に信じる少女のお話の様だ。


どんな結末を迎えるのかまだ分からないけど、読んでいると胸が温かくなったり、泣いちゃったり……凄く感情移入してしまう内容だ。


一途、か……。


それが幸せなのか、不幸せなのかは分からないけど、想いを寄せる事のできる相手と出会えたことは幸運なことかもしれないと思った。


真っ先に頭に浮かんだのは、やっぱりランスロット王子の姿だった。



「え……?」



ページを捲り、驚いた。


この花……セラスチウム……だよね?


これ、もしかしてあの時の?



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