夢見のさだめ
「わざわざここに来なくても、お家に帰ればいくらでも一人になれるんじゃないの?」

「部屋に一人で居ても周りは使用人だらけだし、妹と一緒に居る事が多いから……あっ、妹と一緒に居る事が嫌とかではないんだよ? ただ、純粋に一人になれる時間が欲しかったんだ」



私にはランスロット王子の生活環境はよく分からないけど、自由があまりない様に感じられた。


私も両親の事は大好きだけど、一人で部屋に居る時はやっぱりゆっくりできる。


同じ空間にいなくても、近くに両親の存在を感じると安心する。


けど、部屋のすぐそばに使用人がいると思うと中々ゆっくりとはいかないよね。


……あれ?



「ごめんね……」

「え!? どうして謝るの!?」

「だって、一人になりたくてここに来てるんでしょ? 私がいたんじゃゆっくりできなかったよね」



できなかったって言うより、今も出来てないよね。



「最初は驚いたんだ」

「え?」

「ここの花たちは業者の人たちがお昼にでもお手入れしていると思っていたのに、いつも女生徒がお手入れに来るから」



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