夢見のさだめ
「僕もドミニクの事を尊敬してる」

「尊敬?」

「いつも堂々としていて自然と目を引く魅力がある。 頭も良くて、男の僕が見ても格好良い。 ドミニクという弟がいる事を誇りに思うよ」



べた褒めだ。


けどそれが上辺だけの言葉じゃない事は、声色で分かった。


心からそう思ってる。



「この国を担うのはドミニクだ」



最近友達になったばかりの私に、そんな事を言うとは思わなくて驚いた。



「……それでいいの?」

「物心ついた頃、そう直感したんだ。 今でもそう思う。 だから僕は僕にできる事をするしかないんだ。 それでいいんだ」



不安定でまるで自分に言い聞かせる様な声。


出来る事なら次の王が誰なのか、私は夢に見たくないと思った。


いい夢ばかりではないから、夢に大切な人たちが出ない事をいつも願っている。


私には願う事しか出来ないから。




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