夢見のさだめ
馬車を降りてギョッとした。


周りからの視線が凄くて。



「グズグズするな。 行くぞ」

「…………」



余所行き笑顔を崩さず、私にだけ聞こえる様にボソッと言われた。


この猫かぶりを活かして何か違う仕事でもすればいいのに。


凄い才能。


会場に足を踏み入れて余りの迫力に息を呑んだ。


ここだけ学校の中じゃないみたい。



「何をしている」

「ご、ごめんなさい」



思わず止めてしまった足を慌てて動かした。


私にとっては非日常な光景だけど、ドミニク王子はもう慣れっこなんだろうな。


いつもと変わらず堂々としている。



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