夢見のさだめ
ジーナたちとは「また後で」と言って別れた。


暫くすると理事長の挨拶が始まり、終わると同時に音楽が流れ始めた。


生のオーケストラを見るのは初めてだ。



「兄さん」



オーケストラの演奏に見惚れていると、その声でハッとした。


直ぐ近くには可愛らしい女性と並んで立っている、ランスロット王子の姿。



「こんばんは、ドミニク王子」



彼女はドレスのスカートを軽く持ち上げると腰を下ろし、可憐にお辞儀した。


育ちが違うというのはこういう事を言うのかもしれないと思った。


自分の事を育ちが悪いとは思わない。


けど、そういう次元の話ではない様な気がする。



「まさかエヴァのパートナーがドミニクだとは思わなかったよ」

「一目見て気に入ってしまって、私から誘ったんだ」

「そう、凄くお似合いだ」



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