夢見のさだめ
ダンスを終え、中心から少し離れた場所へとやってきた。



「私が本性ばらすかもとは考えないんですか?」

「君は絶対にそんな事はしない。 できないだろう。 私を怒らせればスミス博士の立場が危うくなるからね」

「…………」

「それにもし君が私の本性を周りに言いふらしたとして、誰がそれを信じる?」



確かにそれは言えてる。


それより本当にこの人嫌な人。



「言いませんよ。 言いませんけど、それなら代わりに教えてもらえません? 私を使って楽しむってどういう事ですか?」

「実に単純な事だよ。 いつもなよなよと周りに流されている兄さんの様子を崩したい。 ただそれだけの事だ」

「……それ私必要ないと思うんですけど」

「妹以外の人間と楽しそうに話している兄を初めて見たんだ。 それが君だ。 その君と私が親しくしているところを見れば、気が気ではなくなるのではないかと思ってね。 予想は的中だ。 これからも楽しませてくれよ」



会場でランスロット王子と会った時、別にいつも通りだった気がするんだけど……。


話しを聞いてもいまいちよく分かんない。



「ランスロット王子と仲良くないんですか?」

「おめでたい頭だな。 仲が良い悪いの問題ではない。 まぁ兄妹もいず、一般人の君には分からないことだろうな」



おめでたい頭ですみませんね。


その話を最後に、ドミニク王子は挨拶だのなんだので忙しくなってしまい、私も巻き添えをくってしまった。


帰りの馬車の中ではもう話す気力はなく、ぐったりしてしまった。



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