夢見のさだめ
顔を洗ってダイニングルームに行くと、パパがコーヒーを飲んでいた。



「おはよう」



両親は笑顔で「おはよう」と返してくれた。


いつもの穏やかな朝だ。



「どうしたの?」

「え?」



ママは心配そうな顔で私の顔を覗き込むと、エプロンで手を拭き私のおでこに手を当てた。


さっきまで水を扱っていたのか、いつも温かい手はひんやり冷たかった。



「んー……熱はなさそうね」

「大丈夫、元気だよ」

「でも顔色が悪いわ……」

「昨日の宿題少し難しくて、遅くまでかかっちゃったからあまり寝れなかったんだ。 だからそのせいかも」

「勉強も大切だが、身体も大切にしなくてはいけないよ」



「ごめんなさい、今度から気を付ける」と言うと、パパは優しく微笑んだ。




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