夢見のさだめ
ランスロット王子の存在は安らぎを、そして言葉は温もりをいつも私に与えてくれる。


知り合ってそれ程時間は経っていないのに、私にとってこんなにもかけがえのない存在になってる。



「夢はいつから見てるんだ?」

「あ、えっと……物心ついた頃には見てました。 当時はお天気の夢を見る事が多くて、見る度両親に話しをしていました」

「では、ご両親もエヴァの力の事を知っているんだな?」

「全てを……知っているわけではありません」

「どういう事だ」



アイリス様がさらわれた時、帰りが遅くなった上、王室の馬車で帰ってきた私に驚いた両親。


勿論何があったのかと問い詰められた。


ランスロット王子の様子が心配で……とお城に行った理由を話すと、両親は怒りながらも「無事で良かった」と言ってくれた。


私はやっぱり両親に本当の事を話せなかった。



「両親は今でも私はお天気の夢しか見ないと思ってます」

「ご両親には話していないの?」

「この“夢見の力”は私が思う以上に恐ろしい力なんだって。 もしも悪用されれば世界が大きく変わるのだと、父から聞かされたことがあるの。 両親に心配を掛けたくなかったし、何よりこの力を認めるのが怖かった」




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