夢見のさだめ
なんで持って生まれたかも分からない力。


私はこの力を持て余してる。



「人と違うものを持ってる自分を、気持ち悪いと思う事もある。 だから人に知られたくなかった。 両親には誰にもはなしちゃいけないって言われてたから、小さい頃からの友達のジーナにすら話してない。 一緒に居ればいるほど、隠し事をしているみたいでいい気分はしなかったけど、両親の言葉を理由に、自分の気持ちを何度も正当化しようとした」



隠し事がばれてジーナに怒られるより、この力のせいで「気持ち悪い」と言われる方が今の私には辛いかもしれない。



「無理に話さなくても、自然と話せる時がくるよ」

「そう、かな……?」

「今までの時間は偽りのない時間でしょ? もしも夢の事を知って、ジーナが怒ってしまったとしても大丈夫。 お互いをちゃんと分かっていれば、きっと気持ちは通じるよ」



どうなるかは分からないけど、ランスロット王子がそういうならそうかもしれないと思ってしまう私は、凄く単純な奴だと思う。


もし話す時がきたら、私はジーナを信じるしかない。



「ご両親の言い付けを守って、いつも見て見ぬふりをしてきたんだろう? 何故、今回はそうしなかった? 我々王族にばれる方が事が大きくなるとは思わなかったのか?」

「……見て見ぬふりをしようと思ったんです。 けどできませんでした。 アイリス様の葬儀で涙を流すランスロット王子の姿が、頭から離れなかったんです」



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