夢見のさだめ
せめて大切な人たちの心が傷付いてしまわない様、出来る限りの事をしたい。


今日話をして、そんな想いが少なからず芽生えた。



「国王陛下の事なんですが……最近体調を崩されてませんか?」



穏やかな空気が一変して、重苦しくなった。


みんなの表情も険しくなった。



「それも夢で見たのか?」

「……はい」



初めて見た夢、それから二度目に見た夢を記憶の中から引きずり出した。



「最初見た時はただ体調を崩されてるだけかと思ったんですけど、二度目に見た時に違う事が分かりました。 どうやら毒を盛られているようです」

「毒だと!?」

「最初は毒を疑ったけど、父の飲み物や食べ物を毒見して、同じように体調を崩した者はいなかったんだよ」

「私も夢でしか見てないから詳しい作用とかは分からないけど、どうやら少しずつ体に蓄積されていく類の毒みたいで、病死に見せかける事ができるみたいなの」



夢の中で毒を作ってた人が確かそんな事を言ってた気がする。



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