夢見のさだめ
気付いたら眉間に力が入ってしまっていた。


フッと力を抜いて、思い出すことに集中する。



「エピメレイアの葉が毒を作るみたいです」

「エピメレイアの葉を? あれは観賞用の花として幅広く出回っている花です。 ですが、身体に害がある様な報告は一度も受けておりませんが?」



ジェーコブさんは顎に手を当て、難しい顔をした。


そりゃそうだ。


私も夢で見るまで、まさかあの花の葉で毒が作れるなんて知らなかった。



「普通に飾っているだけでは害はないみたいです。 夢で見た限りでは、エピメレイアの葉を水で煮てました」

「煮ていただけですか?」

「はい。 煮ていく内に水が赤くなります。 そのまま煮続けると、また透明に戻るんです。 そしたら火を止めて、冷めるのを待つだけです。 どういう仕組みでそうなるのかとか、細かな事は分からなくて……すみません」

「謝らないで下さい。 貴女に聞かなければ、毒になる事も分からなかったんですから」



役に……立てた、かな?


もしそうならいいんだけど……。



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