夢見のさだめ
「大切な人たちが傷付かなくて済むように、こうして力を使ってます。 それが自分の為でもありますから」

「そうではない。 この力を利用すれば、地位、名誉、そして巨万の富を手に入れる事ができるだろう? そういうものを望まないのか?と聞いているんだ」

「あははははっ」



思わず笑ってしまった。


まさかそんな事を聞かれるなんて思っていなかった。



「おい、私は真剣に聞いているんだが? いくら君とはいえ、その力を使ってこの国を脅かそうというのなら容赦はしないからな」

「ごめんなさい。 そんな怖い顔しないで下さい。 地位だの名誉だの、そんな事考えた事もなかったもので、つい笑ってしまいました。 私は今凄く幸せなんです。 この国で産まれ、両親の元で暮らせて、大好きな友達に囲まれて、不自由だと思った事は一度もありません。 手に余るものなんていりません」

「君と話していると、改めて考えさせられることばかりだ」



本当に?


って思わず思っちゃうくらい、ドミニク王子はいつもぶれない気がするんだけど……。


私だって同じ。


ランスロット王子やドミニク王子と話をしていると、思いもよらない考えが頭を過ぎったりする。


その事をとても感謝している。



< 92 / 143 >

この作品をシェア

pagetop