神のみぞ知る 【哲学ファンタジー】

第3話:待ち人へ(前編)

第3話:待ち人へ

~神~ 人には、それぞれの正義というやつが存在するらしいな。ガンダムでいうところのアムロとシャアのように。お互いの立場なんて、立っている場所が違うと分かり合うことなんてできないのかも知れないな。今回はそんな話だ。


※男「ごめんお待たせ!」
駅で待ち合わせをするカップルの、ありきたりな光景。今回の主人公は、工藤真也(くどう・しんや)29歳。恋人の美貴27歳と、駅の改札前で待ち合わせをしていた。時刻は13時30分。駅前の人通りはそれ程多くなく、比較的すぐに落ち合うことができた。駅前の街並みは、オシャレなカフェや下町風な定食屋などが建ち並び、適度に小綺麗な雰囲気を漂わせている。

美貴「はぃはーい!丁度今来たところだよ。それじゃ行こっか♪」
元気な明るい口調で美貴は答え、笑顔で真也の腕を両手で掴んだ。美貴は、肩より長めの茶髪で、毛先は外側に跳ねさせてスタイリングしていた。茶髪と言っても抑え目の色合いで、ギャルというより落ち着いたOL風の印象である。

2人は笑顔で歩を進めていた。秋の並木通りを、美貴が腕を引っ張りながら。
< 9 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop