可愛いあの子は美人に弱い
 無邪気とも言える笑顔に、和真はイライラが募るばかりだ。

(俺の話は全く聞いてねぇじゃねぇか!)

 怒りを握りこぶしで絶えつつ、目の前の美人・崎島 蓮香を睨みつける。
 だが彼女は動じずに「笑ってー」と笑顔を向けてくるだけだった。

 ……それが和真を更にイラつかせるのだが。


「まーたやってるよ、あいつら」
 そんな和真達を周囲の生徒達は呆れ気味に、または面白そうに見守っていた。

「今日はどっちが勝つと思う?」

「どっちがって、賭けでもするつもりかお前? いっつも三岳(みたけ)が逃げ切ってるじゃねぇか。賭けになんねぇよ」

「ってか、いつ見てもおかしいよな? 崎島が吸血鬼で三岳がハンターなのに、追いかける側と追いかけられる側逆じゃね?」

 そんな風に言って笑っているのは和真と同じハンター側の学生だ。同意するように「あはは」と笑っている声が更に和真をイラつかせた。


(俺だって追われたくて逃げてるわけじゃねぇよ!!)

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