ゼロの相棒《番外編》
レオは、何も言わなかった。
緊張が募って、心臓の音だけが聞こえる。
沈黙の中、私は彼の瞳から、目をそらせなかった。
そらしては、いけない気がした。
その時、レオがふいに、にっ、と笑った。
「………本当?」
私は、その言葉に、無言で頷く。
すると、レオが、がばっ!と私に抱きついた。
!
ちょっ………
「やっと届いた…………。」
「え………?」
レオが耳元でささやいた。
“やっと”……って?
きょとん、とした顔をしていると、レオが私の顔を見て言った。
「この三年間。俺がただ酒を飲むためだけに店に通ってたと思ってたのかよ?」
「え…違うの?」
そんなわけあるか!と、レオは私の背中に回す腕に力を入れた。
「ずっと、この日を待ってた。ベルに近づきたかったんだよ。
……しりとりなんか無くても、デートの約束出来るぐらい。」
そ……そんな……
三年も前から…?
私が酒場を始めたばかりで、レオも駆け出しのガーディアンだった頃から?
私の胸に、嬉しさなのか、安心なのかわからない感情が、一気に込み上げてきた。