ゼロの相棒《番外編》
俺の足は自然と宿屋の路地へと入っていく。
見るだけ。
見るだけだ。
「!」
宿屋の近くに来た、その時だった。
ちょうどタイミング良く、宿屋から“彼女”が出てきた。
うわっ!やばい!
俺は急いで住宅の陰に隠れる。
長い髪は、六年前と変わっていない。
……綺麗なままだな…。
って、何言ってんだ。
あぁ、このまま見てたら“欲”がでる。
過去に戻って、やり直せるわけじゃない。
俺は、彼女の姿を見て、ふぅ、と息を吐いた。
バレても困る。
そろそろこの場を離れよう。
俺は、その場から立ち去ろうと
すっ、と住宅の陰から出た。
するとその時、彼女の元に
見慣れた懐かしい男性が歩いてきた。
!!
あいつは!!
「カトレアさん。こんにちは。」
「あら、ロイさん。こんにちは。」
それは、俺の幼なじみのカフェのマスター。
“ロイ”だった。