ゼロの相棒《番外編》


「そうだ、ロイさん。

いつも悪いんだけど、コーヒーカップを借してもらえるかしら?

お客さんに出す分が、足りなくて。」



するとロイさんは、あぁ、と頷き、答えた

その時だった。



「!」



彼の動きが、ピタリ、と停止する。


視線は、ある一点に集中している。





何……?



私は、その方向に視線を向け…………



「ダメだ!!!!」



ロイさんが私の肩を掴んだ。

ぐいっと正面に向き直る。


私が路地の方を向こうとしたのを、ロイさんが制止したのだ。



「どうしたの?ロイさん……?」


「いや……な…何でもない。

コーヒーカップは、後から持っていくから。

ごめん!ちょっと用事ができた。」



すると、ロイさんはそう言い残して、
路地に向かって駆け出した。



何なの……?

一体?



私は、一人彼の向かった方向を眺めていたが
その意味はわからないままだった。



《カトレアside終》
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