ゼロの相棒《番外編》
****
「そういえば、一週間前、フィオネさん達がこの町を出たんだよ。」
二人並んでキッチンに立ちながら、ドロシーが言う。
「へぇ、そうなのか。本当に二人とも無事でよかったよな。」
最果ての丘の一件で、この町に滞在する時間が長かったからかな。
ゼロ達と共に闘った記憶が、まるで昨日のことのようだ。
その時は忙しかったから、この塔に来ても寝るぐらいで
ドロシーとゆっくり話す時間が無かったな。
すると、ドロシーが、はっ、としたように俺を見た。
「そういえば、カトレアさんが昨日、塔に来たんだよ。」
「…………………えっ?!」
俺は言葉の意味を理解するまで数十秒かかった。
カトレアが、この塔に?
何でだ?
俺が?を浮かべていると、ドロシーが
棚に飾ってある花を指差しながら言った。
「あれを、お兄ちゃんのお墓に供えて下さいって。
お兄ちゃんまだ生きてるって伝えてなかったの?」